クリエイターに出会えるかも? 年末年始の風物詩 世田谷ボロ市

掲載記事|ナンスカ

 

2019年12月15日(日)、ボロ市にて。

2019年12月15日と16日に開催された世田谷のボロ市。1578年(大正6年)に小田原城主である北条氏政がここ世田谷に楽市を開いたのが始まりだとか。当時は古着や古道具に加え農産物等の「ボロ」を寄せ集めたことから「ボロ市」の名がついたとされています。

400年以上の歴史を有するこの市、今や東京を代表する伝統行事として、バスがチャーターされて観光客が押し寄せるほどの人気ぶり。現在はボロどころか、骨董品、日用雑貨、古本や古地図、着物や古裂、中古ゲームソフトや懐かしいノベルティグッズなどを売る店からとにかく何でもあり。古式ゆかしい?フリーマーケットといったところでしょうか。

代官屋敷のあるボロ市通りをメーンに、およそ700もの露店が所狭しと並ぶその景色はまさにカオス。とにかくボロ市通りは人、人、人の海ですれ違うのもやっとなのです。

おまけにこの日はとにかく寒かった!モノを売る露店に挟まれるように点在する、温かな食べ物や飲み物を提供する店は黒山の人だかり。これだけ人が多いのに、不思議と声高な物売りの声も喧噪もほとんどありません。ボロ市だからかも。値切りの交渉もとても静かなので、伝統的な都会のフリーマーケットはおしゃれに過ごさないとね、という感じ。

 

クリエイターも出店している!

骨董品や古着の露店の横に、クリエイターの出店もある。

“世田谷・東京”の風物詩とくれば、外国人の旅行客は欠かせません。この日も外国からの旅行者がガイド片手に歩いていました。骨董品や着物などを物色しているのでしょうか。

記者は生憎ボロ市のパンフレット(当日配布)をもらえなかったので、一軒一軒をのぞいて歩きます。

いやぁ、なんでもありますね。ついこの雰囲気にのまれて、何かしら買っちゃいそうです!

するとクリエイターさんの出店も骨董や古着に紛れてありました! 焼き物であったり、革細工、木工、ガラス細工などジャンルはさまざま。クリエイターさん自ら商品の販売にあたっています。

今回は寒かったので、手で触ってもぬくもりが伝わってくる木工作家2名にフォーカスしました。

 

おかしなクリエイター名 ハヘロ

ハヘロの代表的な作品群 木工のからくり人形。

ボロ市通りを人の体でいうところの主要血管だとすると、ハヘロの出店はメーンの通りからちょっと外れた、毛細血管にあたる通りにありました。ここはメーンに比べれば人通りが少ないほう。

とはいえ、お店の前は小学低学年の子供とその保護者らしき人たちで結構混んでいます。露店には天蓋がなく、そのかわりに木工のからくりおもちゃが。犬に追いかけられている人間のほほえましいからくり人形。これに惹かれてハーメルンの笛吹のように子供が寄ってくるのかしら。

露店には一人の中年紳士。名入れを無料でサービスしているようです。鎌倉市にある雑貨店・富士商会で作品を見てからかれこれ10年、あの頃とテイストがほとんど変わらないのがハヘロの魅力です。

子供とその保護者で小さな露店はすぐにひとでいっぱいに。

最近はブローチとか装飾品にも手を広げたんだな、と思いつつ、ブローチのひとつひとつ見ていくと、回転名札と笛に描かれた絵とそっくり。

ハヘロさんが描いたんですか?このブローチ?と聞いたら、それ、かみさんが、との回答。

一つとしておなじもののないガラスフュージングのブローチ。表情を見て、ハヘロだとすぐわかる。

接客に忙しい中、いくつか質問にも答えて頂きました。ハヘロとして活動して24年にもなるとか。ご夫婦でクリエイターとして活動していて、最近はCreemaなどで販売を開始した模様。

ハヘロは木工が谷本礼史、ガラスフュージングを千枝が担当している。

ボロ市の人の流れは途切れることがありません。ちょっとの合間を縫ってお話ができてもすぐに接客に追われるので、名刺を頂戴して後日インタビューさせて頂く約束だけ取り付けました。

ハヘロさんについては後日、インタビューを掲載させて頂きます。

 

クリエイター情報(2019年12月18日時点)

ハヘロ(谷本礼史・千枝)

ホームページ http://hahero3.com/

Creema https://www.creema.jp/c/hahero

 

ボロ市には昨年から参加 工房西岡

ボロ市も広い通りは両サイドに露店があっても歩きやすく、お店もまわりやすくていいですね。クリエイターを探して露店をめぐっていると、ちょっと気になるお店が。

トトロの木工品が売っているのです。トトロってみみずくがモチーフなのかな? 隣に陳列されているみみずくの木工細工によく似ているのよね。

その露店はさまざまな動物を木工で表現している工房西岡。ラッカーが施された滑らかでつややかな木製品の表面はまるで陶器のようなテクスチャです。

木の質を生かした作風が工房西岡の真骨頂。デザインとあいまってなんとも温かみのあるものに。

ボロ市には去年から参加するようになったとか。抽選でようやくブースが当たったとのこと、次回のボロ市にも出店されるようです。

もともとはルアーフィッシング用の疑似餌を作っていた西岡氏。彼の門下生の何人かは木工作家としてデビューしているようです。

さらに、同所はジブリ美術館でトトロの木工品を生産受注していたとかいないとかの話が聞こえてきました。山と渓谷社から木工に関する本も出していらっしゃいます。ウェブサイトを見ると、アトリエは埼玉県深谷市にあるみたい……。

これはもう取材させていただくしかない、と強く思ったのでした。すぐにでも編集長に相談して、工房西岡にアポ取りしなくては。

深谷市のアトリエでは年に数回、蔵出しの販売会が開催される。詳細はウェブサイトで案内中だ。

 

クリエイター情報(2019年12月18日時点)

工房西岡

ホームページ http://www.woodcraft-nishioka.com/

 

代官餅に2時間待ちの行列?! ボロ市は静かで熱く、面白い。

ボロ市は朝9時から夜20時くらいまで行われています。13時の時点で名物の代官餅にありつくには、なんと2時間も待たないといけないとか。もちろんこれは、行列を横目に見ている団体客のうわさ話ですが……

行列の最後尾は代官餅の販売場所から300メートルの長さで伸びていたので、取材のおたのしみとばかり、早いうちに頂いておかなかった自分の甘さに泣けてきました。

ボロ市に集う人々。服装が暗めなのが冬を感じさせる。

年末年始の風物詩、世田谷のボロ市は、小田急小田原線の経堂、豪徳寺のどちらからも徒歩10分ほどで到着します。東急世田谷線上町駅を利用するのがもっとも近いのでしょうか。

車での乗り入れが規制されていますし、ボロ市通りをその足で確かめるのですから、歩きやすい格好でどうぞ。2020年は1月15日、16日の日程で行われます。
自分の足でその場所に行き、お気に入りのクリエイターさんに直接触れてみませんか?

今回は木工細工のクリエイターに焦点を当ててご紹介しました。今後もナンスカではイベントやそこで見かけたクリエイターの方にフィーチャリングしていきます。お楽しみに。

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