谷根千に見つけた！　最小文化複合施設　HAGISO

千駄木駅を降りて徒歩3分、岡倉天心公園への案内に従って路地を行けば、公園の向かい、路地の角に、黒塗りのしゃれた家屋が見えてきます。

その名はHAGISO。リノベーションして「萩荘（はぎそう）」から生まれ変わった最小文化複合施設です。
今回は谷根千巡りの憩いの場所にしたい場所、HAGISOをご紹介します。

HAGISOとは
複合施設　HAGISOの構成
HAGI STUDIOって？

HAGISOとは

HAGISOは東京都台東区谷中にある最小文化複合施設のこと。2013年3月にオープンしました。

ここはもともと同所に本堂を構える妙祐山　宗林寺（通称　萩寺）に隣接して1955年に建築された木造アパート「萩荘」でした。

学生たちのレジデンスとして活躍後、2004年からは東京藝術大学のアトリエ兼シェアハウスとして活用されていたのですが、2012年に老朽化により解体することが決定。そのきっかけは2011年に発生した東日本大震災でした。震災当時すでに築56年だった家屋ですから、解体というのは自然の流れだったのかもしれませんね。

ハギエンナーレの成功で手にした新しい〝カタチ″　HAGISOの誕生

そこで解体を前に、萩荘の入居者によるグループ展「ハギエンナーレ2012」を企画、開催するはこびとなります。それは、この地に萩荘があったこと、そこで過ごした日々を記憶に残すセレモニーとして催されたものだったのですが、これが意外なことに、盛況のうちに幕を閉じます。

グループ展の成功で、萩荘には新たな道筋が示されることに。展覧会やレセプションを行うに相応しい〝入れ物”としての価値が見出されたのです。その結果、解体は見直され、改修して使い続けるという方針に舵を切ったのです。

「HAGISO」誕生の裏には、家屋と人の歴史を愛し、地域と人とのつながりを大切にする強い思いがあったのですね。

萩荘時代からの家具も味わい深い。

複合施設　HAGISOの構成

2階建てのHAGISO、1階にはギャラリーであるHAGI ARTと喫茶を楽しむHAGI CAFE、レンタルスペースHAGI ROOMが設けられています。

建付けはほぼ萩荘のころのままを維持した2階には体のメンテナンスを行うプライベートサロンHAGI salonと、HAGI ARTの一部エリア、HAGI STUDIOプロデュースの小さな宿hanareのラウンジがあります。

HAGI salon

2 階の HAGI ART から 1 階のギャラリーを臨む

hanare のラウンジ

HAGI ARTは展示会場に限らず、ダンスや音楽の舞台としても、ワークショップやトークイベント、はたまた映画上映会までをも行う文化融合スペース。カフェはHAGI ARTのすぐ隣なので、おいしい食事やスイーツをいただきながら、展示や音楽のライブを楽しむことができるのです。

なるほど！個人的にレセプションなども開催できてしまうのね……

特にHAGI ROOMはものづくりをしている作家の展示販売企画を中心に場所を貸し出してくれるので、クリエイターさんやアーティストさんにぴったりと言えそう。アトリエ兼シェアハウスだったころの面影がしっかり残る場所だけあって、そこで開かれる催し物も印象深いものになりそうです。

HAGI ART （1階）

特筆すべきはHAGI STUDIOがHAGI ROOMに来る展示申し込みを一手に引き受けてマネジメントしてくれる点です。それは、HAGISOという空間と作品とが融合してこそのエキシビションだと考えているからでしょう。
したがって、中には作品の性質上、HAGISOに合わないものはお断りすることもあるわけです。これも納得。私たちから見ればHAGISO自体がすでに作品ですもの。あまりちぐはぐな展示内容では落ち着いて鑑賞できませんよね。