緑の楽園へようこそ 小岩・グリーンインテリア

掲載記事|BeCafe(現在はサイト閉鎖)

 

9月、残暑の厳しい日です。日差しが肌にいたいほど突き刺さるこの日、新小岩駅の北口を出て飲食店街を抜けると、ビルの影の下、3時の方向に柴又街道の交差点がまぶしく見えて来ます。

照り返しの日差しで目に痛いくらいまぶしい白いビル、屋上に真っ青な看板「POLICY」とあるのが、「グリーンインテリア」の店舗。今日の舞台です。

「グリーンインテリア」はその母体が化粧品会社という変わり種。店の外にある花壇にも珍しい草花が植えられ、強い日差しをものともせず、生き生きと生い茂っています。

休日のこの日、お店のオープンは11時。少し前に着いたので、お店の許可を得て外から様子をうかがっていると、スタッフがせわしなく店内を往来しています。室内用の観葉植物を扱うお店だからこそ、出勤してからオープンまでの時間は、店舗の掃除や整理整頓だけでなく、植物のコンディションを一つ一つ確認し、水遣りをおこなったり、枯れた葉を取ったりと“お世話をする”大切なひととき。こうした作業が欠かせないのです。

 

まるで亜熱帯の森の中にいるよう

生き生きと生い茂る店内の観葉植物

お店に入ると、珍しい観葉植物が所狭しと並んでいます。背の高いものから小さなものまで、まるで誰かが作ったかのような柄の葉が茂った観葉植物や多肉植物がゲストを迎えてくれます。

店内はまるで亜熱帯の森のよう。店を訪れた人を見下ろすほど背の高い観葉植物がある一方で、足元にこんもりと茂る葉物があったり、アイアンのシェルフの目の高さには、最近はやりのコーデックスや多肉植物がお行儀良く鎮座していて・・・・・・

よく見ると鉢にはその植物の原産国の名前と国旗が添えられています。

その植物の出自(どういう家柄から出たかということ)がわかるようにとの配慮からです。

今回取材に応じてくれた店長の佐藤さんは、一見するとおしゃれなカフェの店員さんのよう。ところがその植物たちに対する知識と愛は舌をまくほどのもの。

彼女はグリーンマスター1級という資格を持っています。この資格、グリーンコーディネーターに最も近い資格。ご存じの通り、グリーンコーディネーターは民間資格で難易度などは公表されてはいないものの、植物の育て方に関する正しい知識を豊富に持つのはもちろん、園芸やガーデニングの魅力を人に伝える能力も求められる高度なもの。

彼女の場合、インドアグリーン(室内観葉植物)に特化した知識がとわれるもので、植物の名前はもちろんのこと、原産国、育成方法などをテキストで学び、自宅で実際に育ててみることで、テキストなどでは学べないその植物の特性を知ったりするのだとか。

植物は犬や猫などのペットと同じだと彼女は言います。

水遣りや肥料をあたえたりするだけでなく、触れたり話しかけたりすることも植物には非常によいのだそうです。

”特に風が大切なのです。風通しを良くしてあげて、たまに枝や葉を揺らしてあげるだけで、植物は生き生きとしてきます。触れ合って風を通してあげることが大切です。”

葉と葉の間に空気がよどんでいるだけで、植物は元気をなくしてしまうのですね。スキンシップが植物にも有効だとは思いもしませんでした。植物は犬や猫以上に無口なように思えますが、長く触れ合っていくうちに犬猫以上に親しく話しかけてくれるかも知れません。

 

どうして観葉植物を扱ったのか

グリーンインテリアの創業はおよそ15年前。そもそもは同社の母体であるポリシー化粧品が植物由来の成分を化粧品に調合するために輸入していた多肉植物の扱いがスタートでした。観葉植物は程なく社長の趣味となり、あれよあれよという間に扱う観葉植物が増えてきたのです。

そこで、同社の化粧品の取引先でもあったエステサロンに観葉植物を部屋のインテリアとして届けるようになります。これが現在のグリーンインテリアの礎(いしずえ)となります。今でこそブームとなった多肉植物も、当時はまだまだそれほど人気もないときから扱っていただけあって、この世界では草分け的存在。取引先も国内外で多岐に渡ります。

国内の取引先には直接赴き、買い付けもします。さすがは佐藤さん、植物の見立ても素晴らしいですが、生産者さんと心を通わせ、その植物の育ってくるまでのストーリーなどをきっちり聞き込んできます。

 

人と緑の架け橋のような存在

植物にはそれが育ってくるまでの物語があると彼女は言います。その植物の生まれや育ちを聞き、育成の苦労を聞くことで愛情が湧くとも。植物が店頭に並んで誰かの目に止まったとき、その植物と購入者が長い時間を健やかに過ごしていけるよう、できる限りの育成アドバイスをするのです。

彼女の仕事、それは人と植物それぞれのストーリーをつなぐようなものなのだと感じました。育成のしかたがわからなければ、できるだけ具体的にアドバイスする。コンパニオンとして植物を捉えているからこそ、命を大切に扱うという姿勢がかいま見えます。

 

売りっぱなしにはしない

人気のコーデックス。入荷するとすぐに売れてしまいます。

グリーンインテリアの素晴らしい点は、自然とリピートしたくなるアフターフォローの体制にあります。

カードによる会員登録はもちろんのこと、LINEによるグループチャットも充実しています。たとえば植物の状態がどうも芳しくない、という時、どのように植物の状態がおかしいのかを言葉で表現するのは難しいし面倒な事でもあります。こんなとき、写真をグリーンインテリアのスタッフに見せる事で症状を伝えることができます。

購入した植物に限らず、ていねいに対応してくれます。言うなれば、”植物のかかりつけ医”でしょうか。

植え替えなどは、大物の観葉植物に関しては出張してやってくれます。小物の多肉植物であっても植え替えの仕方がわからない、枯らしてしまいそうで怖いという方には、店頭で行ってくれます。

 

店名がそのまま書籍になった

今でこそ一般的な”グリーンインテリア”という言葉、実はこのお店が使い始めたからだったのではないかと記者は思うわけで。

というのも、自費出版で、店名がそのまま書籍名になっているインテリア雑誌を発行しているからです。一見すると写真が主の、おしゃれなインテリア雑誌。植物をお部屋にどのように飾ったらどんなに素敵なのかを訴求している雑誌です。もちろん、植物の取扱についても記載しています。

これらの写真の中には、佐藤さんのご自宅を撮影しているものもあります。緑を愛する彼女だからこそのお部屋、スッキリとしたシンプルな白い空間に植物のグリーンが映えるのです。

”グリーンインテリア”はインテリア雑誌としても秀逸

 

緑に関わりたくて

実家が林業という佐藤さん、ごきょうだいはすべてそれぞれ木偏(きへん)の付く漢字が使われています。彼女の名前、桃子がまさにそれです。

幼い頃から植物と接することが自然だった彼女は、大学卒業後、植物などに関わる仕事に就きたいと思い、造園などを希望してハウスメーカーに入社します。そこでもなかなか現場にデビューすることは叶いません。それでも地道に緑と関わっているうち、ひょんな事から現在のお店に入社し、その働きぶりが認められて店長に抜てきされました。

植物に対する愛情は並々ならぬもの。彼女の職業柄、日々情報のアップデートとブラッシュアップが欠かせません。植物は品種改良が日々行われ、次々に市場に登場するからです。

接客術も日々洗練されています。ここに足を運ぶお客様は多種多様。植物を求める目的もまったく異なります。お客様の気持ちをそらさず、ていねいに接し、お客様のお部屋には何が向いているのかをていねいにアドバイス。そうすることで、人と植物の新たなストーリーのページが開くのです。

グリーンインテリアは植物店ではない! 生きているインテリアのお店

グリーンインテリアはよくある植物店ではありません。アイアンシェルフにしろ、じょうろにしろ、霧吹きにしろ、インテリアショップの名にふさわしく、しゃれた形状のものが数多く置いてあります。

特に霧吹きは秀逸! 化粧品会社で肌に水や化粧水をかけるミスト製造器の技術を応用しているので、水がものすごく細かい霧となって出てきます。これは植物たちが喜ぶに違いない!

植物と人にも相性がある

ここにいる植物のひとつひとつにストーリーがある、と話す彼女。生産者の、植物にかける思いまでも届けることができれば、と感じています。その植物たちの素性を知り、生産者にも負けないほどの愛情をかけて未来のオーナーを待っています。

観葉植物を家に飾る場合、その多くは新築の方が多いようです。そんなとき、ペットを含めその家の家族全員に愛されるよう、植物たちを送り出します。

植物の中には長く生きるものも。家族の歴史と共に歩むのにふさわしいコンパニオンとして、植物たちを選んでいるのですね。

さらに、観葉植物の中には犬や猫が口にした場合に毒(アルカロイド)になるものもあります。
そんな時は家族構成を把握した上で、別の植物をおすすめしたり、どうしても毒のある植物がほしいと言われたときは、小さい子どもをはじめ、ペットなどが口にしたりしないように、手の届かないところに置くなど注意喚起をおこたりません。

観葉植物の中には人畜に有害なものも。

彼女に限らず、グリーンインテリアのスタッフはそうした人と植物の関係がより豊かなものになるよう、細やかに気を配ってくれます。日々の手入れを欠かさず、植物たちの未来のオーナーに最も良い状態で引き合わせてあげたい、そんな姿勢が見えてきます。

幸せな観葉植物たち

グリーンインテリアで扱われる植物たちの中には珍しいものだけでなく、ホームセンターや百均などでも売られている安価な多肉食物なども置いています。

同じ観葉植物でも、グリーンインテリアのそれとホームセンターのそれとでは扱いが全く異なります。ホームセンターなどで扱われている観葉植物たちは、扱う量の多さやスタッフの知識不足などによって、実に過酷な状況に置かれています。

そうした植物たちを知っているだけに、ここに陳列されている美しい植物たちはどんなにか幸せなのだろうと思うのです。植物たちは愛情をかけて育成すれば、言葉はなくても全身で答えてくれます。それこそ葉の一つ一つにまで生命がみなぎり、喜んでいるのがわかるようになります。

もし、自宅内で育てられる植物が欲しくなったら、迷わずこのお店に来て、スタッフの人にその意向を伝えてみてください。きっとあなたの生活にふさわしく、静かにたたずんで暮らしを見守ってくれる植物を紹介してくれるに違いありません。

 

店舗情報(2018年11月5日時点)

観葉植物専門店 グリーンインテリア

所在地 〒133-0051 東京都江戸川区北小岩2-21-19
営業時間 平日 13:00~18:30、土日祝 11:00~18:30
定休日 水曜日(祝日除く)
電話番号 03-5668-1187
アクセス 電車の場合➮総武線小岩駅北口より徒歩8分 / 京成本線京成小岩駅南口より徒歩9分
車の場合➮蔵前通り沿い 柴又新道口より千葉方面へ左手50m(駐車場のご用意がありません。徒歩1分のパーキングか弊店姉妹店「WORLD GARDEN」の駐車場をご利用ください。)
URL http://www.green-interior.jp/
Instagram https://www.instagram.com/greeninterior_uni/
LINE https://line.me/R/ti/p/TmtmWkj9zW

 

ギフトラッピングについて

小/中型の植物たちが傷付かないようにていねいに、植物たちの個性が引き立つように、スタッフの方がセンス良くラッピングしてくれます。

 

まとめ

植物が居心地がよいお店というのは、人にとっても居心地が良いものなのだと感じました。
とても静かな空間なのに、不思議と生きものの豊かな息づかいが聞こえて来るかのようです。植物の生命感は、おおらかで包み込むようなもので、とてもリラックスできました。

植物と暮らしてみようかと思ったなら、ぜひグリーンインテリアにお運びください。頭上から足元まで、緑が降り注ぎますよ。その幸せな感覚に浸ってみてはいかがでしょう?

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