簡単でおしゃれなエアプランツの育て方と種類

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フェイクグリーンにはないリアルな植物の癒しの力―――エアプランツはそれをしっかり感じさせてくれる代表的なグリーンインテリアのひとつです。何よりもうれしいのは手が掛からないこと。
今回はエアプランツの育て方と種類について取り上げます。

エアプランツとは?

エアプランツとは土・水がなくても生育できる植物で、「気生植物」または「着生植物」と訳されます。エアプランツの代表といえるアナナス科チランジア属は根がほとんど発達せず、もっぱら自分の体を固定するためだけに機能していることから、土に植えなくても空気中から養分と水分を吸収して生育する小型の植物をこのように呼びます。

花は咲くの?

エアプランツも花が咲きます。葉が密集した中心から花芽の付いた茎を伸ばしてその先に花を咲かせるのです。その花色は目にも鮮やかな赤やピンク、白、黄色、紫、青紫などあり、形もさまざま。
もちろん花を咲かせるには生育状況が整い、株が充実しなくてはなりません。

花言葉はあるの?

エアプランツは植物として必要不可欠とされる土・水を必要とせず、厳しい環境の中でも育ち、ハナをさかせるというその生育形態から、「不屈」という花言葉が与えられています。
また、着生できなければ思わぬ所での育成を余儀なくされることから「言いなり」という花言葉も生まれました。

エアプランツの種類

エアプランツは葉色で大きく2つに分けることができます。
葉が全体的に白っぽく、毛羽だった表面が銀色に見えるものを銀葉種(ぎんようしゅ)といい、それよりも葉の青さが鮮やかで、葉の表面があまり毛羽立っていない緑葉種(りょくようしゅ)といいます。

銀葉種とは

銀色に見えるのは、多くのトリコームがあるため。トリコームはエアプランツ独特の器官で、根からではなく葉から養分と水分を取り込むことからエアプランツの葉の表面を覆い尽くしている白い毛状をしています。栄養分や水分を取り込むだけでなく、強い日差しから葉焼けから守る働きもしています。

このことから、銀葉種のチランジアは乾燥に強い傾向があります。

緑葉種とは

緑葉種には銀葉種に比べてこのトリコームが少ないため緑色にみえることからこの名前が付きました。熱帯地域に多く自生して、銀葉種と比べて水を好み、強い日差しが苦手。強い日差しの下では葉緑素が破壊されてしまうからです。

銀葉種の育て方と代表的な品種

育て方

銀葉種はトリコームと呼ばれる水分を吸収する器官が表面に多くあり、白銀色の毛に覆われているような姿をしています。
銀葉種の多くはメキシコや南米など、乾燥地帯に自生していることから、乾燥に強く、明るい環境を好みます。

この2点をしっかりと押さえて育てるとよいですね。

置き場所は、カーテン越しに日が当たる明るい場所で、風通しの良いところがベストです。
トリコームが日差しに銀色に輝いて、とても美しいですよ。

直射日光が当たらないように気を付けましょう。葉焼けによってトリコームや葉緑素が壊れてしまいます。

代表的な品種

■チランジア・イオナンタ

名称 チランジア・イオナンタ
和名 イオナンタ
学名 Tillandsia ionantha
科名・属名 パイナップル科チランジア属 非耐寒性常緑多年草
原産地 中南米、熱帯アメリカ
耐寒温度 最低8℃
生育適温 18℃~25℃

100均でもよく見られるポピュラーなエアプランツ。葉は銀白色ですが、開花期になると株全体が赤く変わるのが特長です。花弁は鮮やかなすみれ色をしています。

■チランジア・ウスネオイデス

名称 チランジア・ウスネオイデス
和名 サルオガゼモドキ
学名 Tillandsia usneoides
科名・属名 パイナップル科チランジア属 非耐寒性常緑多年草
原産地 南米、アメリカ南部
耐寒温度 最低5℃
生育適温 18℃~25℃

細やかなレースのように下垂して伸びるのが特長です。
原産地によって葉の形状がいろいろあり、太いもの、細いもの、長いもの、カールがかったものなど印象が違います。銀葉種なので、明るい窓越しに吊して栽培しましょう。

水を好むので、小まめに灌水してあげるようにします。明るく、自然の風通しがあって、適度な湿度がある場所が理想です。

■チランジア・ストレプトフィラ

名称 チランジア・ストレプトフィラ
和名 ストレプトフィラ
学名 Tillandsia streptophylla
科名・属名 パイナップル科チランジア属 非耐寒性常緑多年草
原産地 メキシコ~ニカラグア
耐寒温度 最低5℃
生育適温 18℃~22℃

乾燥気味のときは葉が外側に丸くカールし、水やりをすると葉がまっすぐになるというのが特徴です。花姿が美しく、花茎を長く伸ばして咲く姿からチランジアの女王との異名があるほどです。

比較的寒さには強く、乾燥した環境を好み、長期間の乾燥にも耐えられます。 耐寒性とは言え、冬は室内の暖かい部屋で管理してあげるといいですね。
半日陰を好むので、室内の壁側や照明の光が当たる場所などでも機嫌よく生育しますよ。

■チランジア・キセログラフィカ

名称 チランジア・キセログラフィカ
和名 キセログラフィカ
学名 Tillandsia xerographica
科名・属名 ブロメリア科チランジア属 非耐寒性常緑多年草
原産地 エルサルバドル、グアテマラ、メキシコ
耐寒温度 最低10℃
生育適温 20℃~30℃

大型のチランジアで、その堂々とした姿から、エアプランツの王様と言われるほど。キセログラフィカは葉と葉の間に水を溜めます。こうしたエアプランツは「タンクタイプ」に分別されます。

株が充実すると紫色の細長い花を咲かせます。 花持ちがよく、長くて1か月ほど楽しむことができます。
寒さには弱く、室内でも10℃を切るような時はお部屋を暖めてあげましょう。乾燥を苦手としているので、その時はこまめに灌水してあげましょう。

■チランジア・テクトラム

名称 チランジア・テクトラム
和名 テクトラム
学名 Tillandsia tectorum
科名・属名 ブロメリア科チランジア属 非耐寒性常緑多年草
原産地 エクアドル、ペルー
耐寒温度 最低10℃
生育適温 20℃~30℃

テクトラムはトリコームが非常に長く、ふわふわとした草姿が人気のエアプランツ。砂漠に自生しているため、暑さと乾燥と強日光に強いですが、育成する場合、直射日光は避けてあげましょう。

乾燥気味に育てると、トリコームが美しいまま保てます。株が十分に成長すると、紫色の花を咲かせます。

緑葉種の育て方と代表的な品種

緑葉種のエアプランツは銀葉種のものよりもトリコームが少なく、葉も緑色をしています。感触も表面がツルンとしていて、根がない多肉植物のような外観をしています。

トリコームが少ないため、銀葉種より強日光と乾燥に弱いことが特徴です。

育て方

緑葉種のエアプランツは銀葉種のものより水を好む傾向があります。水やりの回数は銀葉種よりも気持ち多めでもいいでしょう。目安は週に2、3回。緑葉種の中でも水が好きな品種には2日に1回お水をあげるなど、植物の様子をみながら管理するといいですね。育成期は水を大変欲しがります。

冬場は回数を減らして管理します。温度が10℃を切ったら、水やりの回数は週1程度に抑えて管理しましょう。

本来育成している場所は鬱蒼と茂った森の中の木の上だったりするので、半日陰などが多いのです。できるだけ、生育環境が自生地に近い形で再現してあげると失敗せずに育てることができそうです。

代表的な品種

■チランジア・トリコロール

名称 チランジア・トリコロール
和名 トリコロール
学名 Tillandsia tricolor
科名・属名 パイナップル科チランジア属 非耐寒性常緑多年草
原産地 メキシコ~中米
耐寒温度 最低10℃
生育適温 15~25℃

プラスチックのような硬い葉はフェイクグリーンと間違えてしまうほど。日に当たる時間が長いとやや葉先が色付きます。学名の「tricolor」(トリコロール:3色)は開花すると花色の順番が赤、黄、紫の三色になることから名付けられました。株は成長すると20センチから30センチの大きさになります。

■チランジア・ブッツィー
名称 チランジア・ブッツィー
和名 ブッツィー
学名 Tillandsia butzii
科名・属名 パイナップル科チランジア属 非耐寒性常緑多年草
原産地 コスタリカ、メキシコ
耐寒温度 最低10℃
生育適温 20℃~30℃

葉の基部が球根のように膨らふくらみ、その先が細長く伸びていきます。茎は伸びません。基部がふくらんだその形は、とっくりや洋梨のよう。さらに、株元の表面にはモザイク模様なような斑点が浮かび上がります。

花は美しい青紫色です。株が充実するまでは花は咲かないので気長に育成します。ブッツィーは水を好むエアプランツです。一般的な水のやり方よりも気持ち多めに水やりの回数を増やすことをおすすめします。

■チランジア・ファシクラータ

出典サイト(https://frontierplants.com/

名称 チランジア・ファシクラータ
和名 ファシクラータ
学名 Tillandsia fasciculata
科名・属名 パイナップル科チランジア属 非耐寒性常緑多年草
原産地 アメリカ~コスタリカ
耐寒温度 最低12℃
生育適温 20℃~30℃

ファシクラータは最大80cm以上になることもある、大型種のエアプランツです。
水を好み、乾燥に弱く、耐寒性もやや低いという特徴があります。直射日光は苦手。ですから柔らかな明るい日陰で育成するとよいでしょう。耐寒性が低いので、冬場は室内で管理することをおすすめします。

■チランジア・ブルボーサ

名称 チランジア・ブルボーサ
和名 ブルボーサ
学名 Tillandsia・bulbosa
科名・属名 パイナップル科チランジア属 非耐寒性常緑多年草
原産地 メキシコ~ブラジル
耐寒温度 最低10℃
生育適温 20℃~30℃

ブルボーサはその形から「球根」という名前を持っています。その名の通り、葉の基部が大きく膨らんで壺型になるのが愛らしいと人気の品種。
独特の葉のうねりも特徴的で、日陰の灌木林や木の上など湿地に自生しています。したがって湿度を好みます。水を切らさないように管理することが大切です。日陰の木の上などに活着して育成することから、直射日光を避けてあげるのが良いでしょう。

■チランジア・ブラキカウロス

名称 チランジア・ブラキカウロス
和名 ブラキカウロス
学名 Tillandsia brachycaulos
科名・属名 ブロメリア科チランジア属 非耐寒性常緑多年草
原産地 中南米
耐寒温度 最低10℃
生育適温 15℃~25℃

ブラキカウロスは開花前後に葉が紅葉するのが特徴です。葉の先端から紅葉します。水分が好きな種類で、水を切らさないようにし、乾燥した風が直接当たる場所は避けたほうがよいでしょう。乾燥に弱いのでミズゴケを敷いた素焼き鉢に植え込んであげるといいかも。

育て方のポイント(共通)

水やりの方法は?

水の管理は週に1回のミスティングと、4週間に1回のソーキングを基本としましょう。ミスティングやソーキング直後に太陽に当てて葉が蒸れると、腐る原因となりますのでご注意を。

銀葉種と緑葉種、いずれの種類も基本的には葉を蒸らさないように水を与えることが大切。週に2回ほど、トリコームの気孔が開く夕方に霧吹きで水をやった後、葉の間に水が貯まらないように風通しの良いところでさかさにして水切りをします。

乾ききってしまっていたら、ソーキングという方法で、株をそのまま4~6時間ほど水を張ったバケツなどに浸して、葉の間に水が残らないように逆さにして水を切り、風通しの良いところにおきましょう。

日当たりは?

直射日光を避けることが一番です。育成期でもある春~夏は、戸外の明るい日陰がよいですね。室内で管理する場合は、カーテン越しで日差しの入る窓際などが適しています。

エアプランツにとって葉は大切な命をつなぐ器官です。葉焼けしてしまうとトリコームや葉緑素が壊れて機能しなくなり、株は弱り、水分と養分を得ることができずに死んでしまいます。

明るい日陰がない場合は遮光材で日陰を作ってあげましょう。

肥料は?

肥料はそれほど必要ないとはいえ、春と秋に3000~4000倍に薄めた液肥を霧吹きで水と一緒に与えます。⒈カ月に1~2回が目安です。

風通しは?

エアプランツは蒸れも大敵です。葉が痛んで腐ってしまうことがあります。湿度の変化がないような密閉した場所は生育しにくい環境と言えます。
風通しの良い場所に置いてあげるようにしましょう。

水やり、とくにソーキングを行った場合は、つるして水を切ったあと、風通しの良いところにおいて自然に乾かすようにするとよいですね。自然に乾かすことが大切で、扇風機やエアコンの風が直接あたるようなところではかえって乾燥してしまいます。気を付けてあげたいですね。

増やし方は?

エアプランツは春~夏が生育期に当たります。この時期に、比較的多めに日光に当たると、成長し、株が大きくなります。株が充実してくると、花が咲きます。子株は開花後に付くことが多いようです。

子株がつくと親株はそれ以上成長しません。親株を中心として子株をつけたまま生長させると、クランプといって大きな株になり、それもまた見事です。

子株を親株から離して育成することもできます。

害虫や病気はどうなの?

高温期、乾燥しすぎると発生するのがカイガラムシやハダニです。カイガラムシは茎や葉にはり付いて身を隠しますが、発生するとベタベタした浸出液を分泌します。

ハダニは小さいけれど黒くてよく見えます。発生すると葉から液を吸うため葉色がわるくなります。
これらを放っておくと害虫の排泄物などがスス病の原因になるので、そうなる前に駆除します。

ソーキングは有効な手段です。水に浸すと害虫もろとも水没して駆除することができますよ。

インテリアとして飾ってみよう!

ハンギング

吊して飾ると風通しも確保できるので、エアプランツにとってもうれしい生育環境と言えます。
せっかくですから吊して美しいインテリアにしたいものですね。

アイディアその1:ドリームキャッチャーにつり下げる。

 

アイディアその2: ヒンメリなどに引っかけてつり下げる。

 

アイディアその3: ザルをハンギングに仕立ててつり下げる。

オーナメント

土を使わないことから、オーナメントに活着させるようにして飾ることもできますね。

最近では多肉植物専用のフレームなどもありますので、それに取り付けることなどもできそうです。

 

まとめ

エアプランツをいろいろ調べて行くと、植物としてそれなりの手入れが必要だということがわかりました。
植物も人と一緒です。水と風と光。この3つをそろえてあげれば、エアプランツはゆっくりと静かに成長し、あるとき花を咲かせてくれます。

花が咲くまでに10年近くかかるケースもあります。大切なインテリアとして、気長にエアプランツをそだててみてはいかがでしょう。

 

 

 

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