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八王子みなみ野はおよそ20年前から八王子市の南部で造成が始まり、今なお住宅の建設が進む新しい街です。
今回訪れたのは駅前通りの先の路地を一歩入ったところにあるTASSE(タッセ)というお店。
14年前、オーナーの渡辺さんご夫婦が陶芸教室を兼ねたお店をこの場所に構えました。
今は教室はお休みをしていますが、時を重ねる中で雑貨とお洋服を売るお店へと変化してきたのだそうです。
大人がうれしくなるかわいいものでいっぱい
お店に入ると、赤ちゃんや幼児向けのおもちゃや雑貨が賑やかに並べられています。
子育て中のお母さん達に求められる出産祝いやお誕生日のプレゼントにピッタリのものが並びます。
TASSEに置かれている雑貨の特徴は、お店を始めた当初から作家ものが多くあるということ。
お客様からの要望で商品を探して徐々にそろえていったものや作家さんと協力して作り出したもので定番商品となったものも多いそうです。
もちろん、オーナーの感性でいいな、と思うものを置いているので、自然と商品の雰囲気などは統一されています。
今でこそネットショップなどが簡単にできるようになりましたが、当時は、個人作家にとってもTASSE のようなお店は貴重な場所でした。
TASSEに自分の作品や商品を置いて欲しいと思う作家やメーカーなどは今もあります。そこでお店の雰囲気やコンセプトに合っているかをオーナーが判断し、置くようにしているのです。
ハニカミヤさんはTASSE のお客様からの紹介で出品を始められた作家さんです。
どこか懐かしい香りのする作品たち。
個性豊かな表情や絵のタッチを見ているだけで、自然と笑みがこぼれてしまいます。
マグネット式の「福笑い」は、TASSE とハニカミヤさんの会話の中から生まれました。
特に人が集う機会の多い年末年始に人気で、ご家庭の中で楽しいひとときを演出するアイテムになっています。
このようなアナログなゲームもAI 世代の若い人達にとってはかえって新鮮かも知れませんね。
窓辺のコーナーには近年人気の多肉植物も並んでいました。
多肉植物は多種多様で、その個性的な姿に目を奪われますが、morimorigardenさんオリジナルの鉢は鮮やかなトルコブルーだったり、ユニークな人型だったりと、そこに植栽されるだけできれいで可愛いお部屋のインテリアに早変わり。とても人気なのだそうです。
小さくてもその箱庭的な雰囲気が今の生活スタイルに合っていていい感じです。
陶芸教室のころからのつきあい
陶芸教室をスタートしたのがおよそ14年前。ご夫婦ともに陶芸家だったことから、静かに自分たちの作品作りができる一方、陶芸教室を開き、近隣の人達が集う場所としてTASSEは始まりました。
今から14年ほど前ですから、出来たてのニュータウンに住む人達は若く、小さなお子さん連れも多かったそうで、それがきっかけで子供服を扱うようになります。
子どもの洋服を皮切りに、お店はそれから徐々に子どもの関連のものが増え、子どもとそのお母さんのものが増え、と置いていく雑貨の数や性質も変わっていきました。唯一変わらないのは素材の品質。素材の良いもの、使ってみて良いものであるかどうか、この一語に尽きます。
変化していくお店
そして今、TASSE はふたたびお店の形態をちょっと変えています。
ファストファッションではない、着心地の良い、自分にピッタリの洋服を着たい・・・・・・TASSE の店の奥に広がるお洋服のエリアは、そんな思いに応えてくれるお洋服が充実しています。
コットンや麻、ウールなど自然素材のお洋服が多く、好みのサイズ感を三通りのシルエットから選べる定番のパンツなどもあります。
トップス、ワンピースなど沢山の種類があるので、気に入ったお洋服があったら、さっそく試着をしてみてください。
迷った時はオーナーのあずきさんがおすすめのものを紹介してくれますよ。
TASSEが独自で展開しているブランド「momo mit tasse」ならば補正のご要望も受けてくれます。
身体に合ったものは着くずれしないので、着心地が格段に良くなるそうです。
その服がその人の体型を自然とカバーして、着心地の良い美しいシルエットになるよう相談に乗ってくれます。
場合によっては生地も選べます。セミオーダーともなるとお値段はそれ相応になると思いきや、これが格安! 非常にリーズナブルなお値段なのです。
普段使いもできるけれど、街にお出掛けの時でも着回せるコートなどもあって、本当に素敵でした。
縫製の良さは見えない場所に表れます。ていねいに手縫いで仕上げている箇所を見ると良い仕事をしているなと感動しました。
お洋服の受注会で一定期間だけ注文を受け付けるお店もありますが、TASSE はお店へ行けばいつでもその体験ができるのです。
セミオーダーに応えてくれるのはもちろんオーナーのあずきさんです。
作るのが好き、が高じて大工仕事も!
オーナーのあずきさんはもともと手作りが大好きな人。この”あずき”というお名前はやきもの作りの時の雅号を使用しています。
お洋服のサイズ直しなどは、ほぼ独学。パタンナーとまではいきませんが、いまやその仕事はパタンナーの領域にまで達しています。
職人さんと仲良しに
あずきさんはそもそもこのお店を作る時からその手作りの才能を遺憾なく発揮していました。
大手ハウスメーカーに設計して作ってもらった店舗兼住宅ですが、床板張りや水回りのタイル貼りなどは職人さんと仲良くなって、自らも現場に参加して造らせてもらったそうです。本当に作ることが好きなのですね。
ものづくりはすべてに勘どころというものがあり、それがきちんと収まりのいいようにできるのがプロなのだと気付かされます。
オーナーが作るものはすべて”玄人はだし”ではなく”プロ”のお仕事といえるのではないでしょうか。
求められるがままに有り様を変えていく
雑貨売り場にはご夫婦で作った陶芸作品もあります。今残っているのはごくわずかな作品群。
とはいえ、あずきさんの作った「文様台皿」はひっくり返して小物入れとしても使える、おしゃれでていねいな作りのものでした。
店名のTASSEはドイツ語で”茶わん(カップ)”という意味。
色々なものが入る器のイメージは、ものづくりをする人達にお店のスペースをステージとして使ってほしいというクラフトマンシップへ尊敬の念をこめて付けられました。
その名の通り内容を変えながらここに集う人達の暮らしにさりげなく寄り添う店になっているようです。
内容を少しずつ変わり続けてきたお店。唯一変わらないのはいつでも”手作り”が息づくお店であることだと感じました。
オーナーがお店を続けるにあたって常に心がけているのは、時流にかたくなにならないこと。
無理に自分流を通すこともない分、その時に自分に求められていることにいち早く気付くことが大切だと。
移ろいゆく時代に身を任せて、暮らしの中でちょっと幸せになるようなもの、ユーザーが欲しいと思っているものを提供する、いつでも暮らしに寄り添える、そんなお店でありたいと思っているのかもしれません。
工房はまた次のタイミングで
だからこそやきもの作りや陶芸教室も、いつかまたタイミングがきたときに始められればよいと、その考え方はとても柔軟です。
今は着やすい洋服の販売とオリジナル服の製作を面白いと感じています。
うれしそうに手に取るお客様の姿を見るにつけ、あずきさんは一緒になって幸せを感じているのかもしれません。
コアなものをしっかりと持っていれば、お店の形態はいかようにも変えられる。
しなやかで、芯のしっかりとした強さを感じました。
店舗情報(2018年11月22日時点)
TASSE(タッセ)
所在地 〒192-0916 東京都八王子市みなみ野2-15-1
営業時間 10:00〜19:00 ※1、2月は10:00〜18:00
定休⽇ 月曜日・火曜日
電話番号 042-636-3362
e-mail tasse@tasse-tasse.com
アクセス 電車の場合➮JR 横浜線 八王子みなみ野より徒歩8分(駐車場2台有り)
公式サイト http://tasse-tasse.com/home/
Instagram https://www.instagram.com/tasseazuki/
X(旧Twitter) https://twitter.com/TASSE_staff
Facebook https://www.facebook.com/minamino.tasse
ギフトラッピングについて
包装に使われている紙の袋は個人作家さんのおしゃれな絵柄のハンコが押されていてナチュラルな美しさがあります。
そこに“TASSE”とラフにあずきさんが手書きしています。
ラッピングの方法は雑貨の大きさや素材、プレゼントの目的に合わせてオーナーにお任せ。
お箱を使う場合のみ有料ですが、他は無料でラッピングしてもらえますよ。
まとめ
インタビューは、お店の定休日に伺ったのですが、そうとは知らないお客様が入店してきても通常通り対応されるオーナーのあずきさん。
人当たりの柔らかさはこのお店によって培われたものだといいます。このお店の商品すべてに、クラフトマンシップがあふれ、ハンドメイドの温かさに満ちています。
プロフィール写真は今回、あずきさんのご要望で掲載しておりませんが、このこどもの宝箱のような不思議なお店で、お客様をていねいにもてなしてくれます。
雑貨はもちろん、オーナーの人柄もまた非常に魅力的。ネットでのお買いものは便利ですが、やはりお店を訪れてみてください。
必ずあなたの欲しかった物が手に入ること、請け合いです。