エアプランツと暮らす

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これ、本当に生きているの?と多くの方がまず質問するでしょう。エアプランツはまるで根っこを切り落とした葉っぱや造花そのもの。
しかしそこには生きものの確かな息づかいがあります。
今回は今人気の、エアプランツの種類や扱い方をご紹介します。

エアプランツって?

エアプランツをアルファベット表記するとAir plants。ブリタニカ百科事典によれば、「土も水もなしに生育できる植物のこと。『気生植物』と訳される。」とあります。

本当に土も水もなしでいいか、というとそうではありません。根がそれほど育たない種類をみて土を必要としない、としたのでしょうね。確かに土はいらないかも。でも、植物である以上、水は必要とします。ただ、エアプランツは空気中から水を取り入れていると考えられていたので、水も必要なしとなったのでしょう。

当たらずとも遠からずで、確かに水は積極的に必要ではありませんが、管理のために水やりが発生します。だって、植物ですから。

どんなところの植物なの?

エアプランツの代表格は、根がほとんど発達せず、土に植えなくても空気中から養分と水分を吸収して生育する小型の種を有するパイナップル科 (アナナス科) ティランジア属の植物。

このティランジア属、北アメリカから南アメリカにかけての亜熱帯エリアに約 400種が生育しているのとか。亜熱帯地域に育成しているだけあって、低温の限界は5℃ぐらいと言われています。

葉の色で扱いも変わる

エアプランツは葉の色によって2つに大別されます。葉が全体的に白っぽく見える銀葉種(ぎんようしゅ)と、銀葉種よりも葉の青さが鮮やかで、葉の表面があまり毛羽立っていない緑葉種(りょくようしゅ)です。

銀葉種と緑葉種とでは水のやり方が違ってきます。水のやり方をご覧くださいね。

葉の色だけでなく、形状も個性的なエアプランツ。お部屋のイメージに合わせて台座となる素材と組み合わせしやすいのもインテリア性が高い植物と言えますね。

取り扱いかた

全般的に乾きぎみの場所を好み、長きにわたって葉に水が付くような状態にしておくと、土との接地面から腐ってきたり、水のたまった葉と葉のつなぎ目から腐ってきたりします。

生育場所を考えて置き場所を決める

亜熱帯地域に生育する小型の植物は、日光が高い木などに遮られ、明るい日陰で生育していたりします。エアプランツもそうした植物なので、カーテン越しの明るいけれど柔らかな日差しを好みます。

やさしい光が当たるように

お部屋の灯りでも十分。むしろ直射日光を当て、葉焼けをおこしてしまうと、エアプランツの水分や養分の吸収に大切な器官を痛めてしまうのです。
穏やかな環境が大好き
それにエアプランツは激しい環境の変化も苦手。なかなかついていけないのです。ムシムシした湿気の多いところも苦手です。風通しの良い、明るい日陰が好き。そうした環境が一番落ち着いて生育できるので、お部屋の中での管理が一番望ましいと言えますね。

水の与えかた

エアプランツの管理は水の与えかたに尽きると言っても過言ではありません。やり過ぎてはいけませんが、水を与えないとひからびて死んでしまいます。

ミスティング

ミスティング(misting)はその名の通り、霧吹きで株全体に水を吹きかけること。エアプランツでも銀葉種のものにはこの方法が合っています。

エアプランツの養分を取り込む器官である気孔が開くのは夕方から夜にかけてなので、このタイミングを狙って週に2回ほど、たっぷりと水をしたたるほどに吹きかけます。

そのあとは、株の根元や葉に水が残らないように乾かします。乾かすと言ってもドライヤーで風を当てたりせず、布で軽く水滴を押し拭きしたら、あとは風通しの良いところで自然に乾くようにします。

ヒンメリや網かごをハンモックのようにお部屋につるしてエアプランツを干すような感じでぶらさげておくといいかも。葉と葉の間、根元に入った水をそのままにしないことが大切です。

ソーキング

ソーキング(soaking)は、エアプランツそのものを水の中にトップリ浸ける方法です。頻度としては月に1回程度、気孔が開くタイミングを見計らって行います。ソーキングの時間は4~6時間程度。季節やエアプランツの種類によって浸水の長さを変えるといいでしょう。

冬場は水が冷たいのでソーキングの水は室温に慣らしてからにしましょう。植物もびっくりするのですよ。

ソーキング後は、くれぐれも水が株に残らないように気を付けて。ミスティングと同様、株を逆さにつるして根元や葉と葉の間にたまった水を切りましょう。
アフタヌーンティースタンドに平たい網を敷き、その上でエアプランツの水切りと乾燥は、おしゃれな感じがしますね。

どこで入手できるの?

最近では購入も手軽にできるようになりました。ホームセンターでは屋内のインテリアのコーナーに置かれていたり、ダイソーなどの100円均一の店などにも置かれるようになりました。ウェブサイトでは品種を指定して購入できるので、便利です。

エアプランツの似合うお部屋は?

エアプランツはやはりスッキリと片付いてシンプルな色合いのお部屋でこそ、その存在感を増します。ものがあふれ、さまざまな色でにぎやかなお部屋では、その色合いや風情が損なわれかねません。それこそ銀葉種で小さいエアプランツなら、干した野菜の葉っぱと間違われる可能性もあります。

居室の中でも風通しの良い明るい日陰を好みますので、風呂場やトイレはエアプランツにとって過酷な環境と言えます。エアプランツをインテリアに取り込もうとした段階で、お部屋のしつらえを選ぶことになるのですね。

おすすめのエアプランツ5つ

エアプランツの扱い方についてお話してきましたが、ここでは入手しやすく、小ぶりで育てやすい品種で、インテリア性の高いエアプランツを5つ選んでご紹介します。

ハナアナナス

ハナアナナスは和名です。正式にはパイナップル科ティランジア属の多年草です。草丈は10センチから25センチくらいですが、原産地は南アメリカで、木の幹などに着生しているので、流木やコルクに巻き付けたりして育成するといいかもしれません。

つややかな濃緑色の葉の中央部からピンク色のしゃもじのような花苞(かほう:つぼみを覆うさや)を出し、3弁のすみれ色の花が次から次へと咲きます。

イオナンタ

ティランジア属のイオナンタは、葉の表面にうっすらと銀粉をまいたような色合いが特長です。さらにイオナンタにもいくつか種類があり、葉の風情や色味などが種類によってまた違ってきます。
銀葉種の給水はミスティングがよいのですが、これはトリコームという葉の給水器官に理由があります。銀色に見える細かな毛状のものこそ、大切な給水器官なのです。

銀緑色の葉が開花期になると赤色に変わります。花はキセルのような不思議な形をしていますが、色は紫色と黄色という補色の取り合わせ。花が咲くと1~2年後には子株をつけ、お花を咲かせた株は枯れてしまいます。子株が群生したイオナンタの姿(クランプと言います)は圧巻です。

カピタータ

葉が短めで幅広であることが、このティランジアの特長です。この品種も、開花期が近づくと葉の色が赤みがかったりするものがあります。全体的に粉砂糖をうっすらと身にまとったような風情になります。
どの品種も株が充実してからでないと花を咲かせてくれません。それほど成長はゆっくりですが、それだけに愛情を持って接することができるのです。

カプト=メドゥーサ

ギリシア神話に登場する怪物、メドゥーサはでゴルゴーン3姉妹の1人で、もともとは美少女だったそうです。怪物に姿を変えられた彼女の髪はすべて生きた蛇になっていましたよね。

その名の通り、メデューサの頭のようにくねくねとうねる葉が特長です。株が充実すると花を咲かせます。株が充実するまでには何年もかかりますので、気長に手入れをしましょうね。

ドラティ

葉がこんもりと茂ると球形になり、そのまま立位で成長します。花茎は面白いように長く伸び、葉姿とはまた違った可憐(かれん)な花が咲きます。爽やかで甘い香りもするようです。

まとめ

いかがでしたか?エアプランツはゆっくりではありますが、成長し、花を咲かせたり、子株をもうけたりします。生きているインテリアのよいところは、お手入れをすることで愛着が湧くこと。いつの間にか大切な住人として、ペットなどと同様の存在になっているに違いありません。
とても扱いやすいグリーンインテリア、エアプランツ。さっそく始めてみてはいかがでしょう?

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