置くだけで簡単に季節感までかもし出せるのがグリーンインテリアの良いところです。今回はグリーンインテリアの中でもその特異さでも目をひく、苔玉(こけだま)をご紹介します。
苔玉って何?
赤玉土やケト土などを混ぜて練った用土で球状に包み、さらにその表面に苔(こけ)を貼ったものです。
インテリアの一部として室内に飾られます。コケ玉、草玉とも言われます。
もともとは盆栽文化の中の根洗い(ねあらい)を応用してできたものだと言われています。
根洗いとは、鉢の中に根を隙間なく張らせることによって、鉢なしでも崩れないようにする手法のこと。これを模して、植物の根を土で固めて球形にし、その外側に糸でコケを巻きつけて、一時的に鉢いらずの状態にします。それが苔玉です。
できあがった苔玉は器や皿の上などに置かれ、室内にインテリアとして飾り付けることができます。
どこで入手できるの?
苔玉は手軽なグリーンインテリアとして重宝がられますが、一体どこで入手することができるのでしょう?
一般の花屋さんと言うよりは、ホームセンターで見かけることが多いです。特に「和の植物」のコーナーに、盆栽の一種として置かれていたり、夏場は水生植物と一緒に涼しさをかもす演出のひとつとして風鈴と一緒につり下げられて飾られていることもあります。
また、ネットでは苔玉専門店もあるほど。そうしたお店では取り扱い方などをていねいに解説したしおりなどを用意してくれていますので、そこで購入することもできますね。
苔玉を販売しているショップ
ネットで購入するデメリットと言えば、やはり大きさなどがいまひとつわかりにくいことでしょうか。ネットで購入するときは、大きさなどをお店の方に積極的に聞くといいでしょう。
こんなにすてき、季節の楽しみ方
苔玉には苔だけのものと、ほかの植物を組み合わせたものとがあります。今回ご紹介するのは春を連想させる植物を用いた苔玉です。コケそのものにもいくつか種類があり、苔むした様子や苔の色などから季節のイメージに合わせたものもご紹介します。
春の苔玉、花咲くものや休眠から覚めるもの
桜や木瓜(ぼけ)を用いた苔玉は、花が咲き、春の訪れを知らせてくれます。花ものの苔玉は花咲く時期が季節によって限定されるものと、年に数回咲くものがありますので、苔玉についている説明書やネームタグの説明はよく読むといいですね。
春の美しさは芽吹きにも。苔玉の中には冬までに落葉して休眠し、春の訪れと共に芽吹くものもあります。
春の苔玉は、基本屋外で管理するのが通例ですが、インテリアとして室内に置くときは、できるだけ日差しの明るい場所がおすすめです。
夏の苔玉、つり下げたり、風鈴で風を感じたり
夏の苔玉はシダと組み合わせたつり下げるタイプのものが市場に出回ります。苔玉の下に風鈴がつり下げられていて、風を感じるものも。
組み合わせる植物も、夏に青々としげるシダのほかに、わずかな風でも静かに葉が揺れる観葉植物とバリエーションも豊かです。
また、水生植物との組み合わせのものがあったり、見た目の涼しさを演出する苔玉もあります。
インテリアとして用いる苔玉ですが、普段の管理はやはり屋外。この時期はナメクジが食害する恐れもありますし、乾燥すると苔玉が死んでしまうので、水に苔玉ごと水没させて、水をしっかりあたえることとナメクジが付かないようにすることが大切です。
秋の苔玉、紅葉や落葉を思い浮かべて
苔玉は盆栽の技術、「根洗い」の応用だというお話をしましたが、その関連で、まめ盆栽の人気の高まりに後押しされて、モミジや楓などを組み合わせた苔玉もあります。
季節の移ろいと共に葉が赤くなり、落葉します。
冬の苔玉、南天や千両をあしらって
南天や千両は雪の降る庭でも赤い実をつけ、青々した葉をつややかに木に蓄えています。むしろこの寒い冬にこそ赤い実が映えるのかもしれませんね。
すっかり落葉したモミジの苔玉も、冬の景色を連想させてくれます。また、いっそ苔だけの苔玉もこの季節はシンプルでいいかもしれません。
冬から連想される空間を、あなたなりにデザインしてみてください。
苔玉の季節の演出は、植物だけじゃない
苔玉は単品だけで楽しむだけでなく、苔玉を受ける皿や横にあしらうフィギュアによって、箱庭的に遊べるのも一興です。
フィギュア
たとえば、冬の演出を、苔玉にペンギンのフィギュアなどを添えてみても良いかもしれません。また、苔玉の受け皿を、白い釉薬をかけたお皿で演出してみてもすてきですね。
日本には季節ごとに寿ぎを表すものが数々あります。春ならひな祭り、初夏には鯉のぼり、夏の七夕、冬なら冬至。
そうしたフィギュアがあったらそれをちょっと添えるだけで季節感がぐっと深まります。
ガラスの皿、白い釉薬の皿
夏ならやはりガラスの受け皿を使いたいですね。苔玉を安定させる石もガラス様のアクリルブロックで代用してみてはどうでしょう?
ガラスの灰皿は受け皿にピッタリです。タバコを吸わない方ならなおさら、もってこいの活用法です。
冬なら白いぼったりとした釉薬のかかった皿はどうでしょう?
箸置き
箸置きにはいろいろな形のものがあります。苔玉の横にちょっと飾るだけでも十分季節感を演出できますよ。
受け皿はほかにも
受け皿は100均で購入することもできますが、わたしはリサイクルショップなどで探すのが好き。
意外にびっくりするほどすてきなお皿がバラで手ごろな価格で売っているので、おすすめです。トレジャーハントみたいな感じで探すのが楽しいですよ。
私はもっぱら自宅で割ってしまったお皿を活用しています。直近まで食器として使っていたお皿だっただけに、捨てられないのですよ、思い出がつまっていて。
お皿を陶器用ボンドで再生したら、お皿の割れた箇所に木工用ボンドでビーズやボタンなどを貼り付けて、植木鉢用のお皿に仕立てます。ビーズは欠けた箇所の目隠しに使っています。ボタンは足つきのボタンがおすすめです。
多肉植物や観葉植物を使った苔玉もある
多肉植物や観葉植物を使った苔玉もあります。季節感があるか、といったらそれはあまり感じません。
だからこそ、小物で季節感が出しやすいというメリットもあります。
多肉植物を使った苔玉は、水没式の水やりよりも、霧吹きで水をたっぷり与えるのがオススメです。というのも、多肉植物は水をそれほど欲しがるものがなく、葉などに水がたまると痛んでしまう種類もあるからです。
霧吹きならピンポイントで水やりできますからね。
まとめ
いかがでしたか?いろいろな苔玉を紹介しましたが、1種類だけでも四季折々の姿を楽しむことができます。
苔そのものが器になっているようなものなので、一緒に植えられた植物とともに苔の成長も楽しむことができるのです。
苔玉は使用される苔によっても味わいが変わってきます。実に奥深いインテリアと言えますね。
グリーンインテリアは時間の流れをゆっくりとした成長で実感できるものです。できあいの苔玉もすてきですが、自作もできるのも面白いところ。楽しみはさらに広がりますね。
生きものの温かみのあるインテリアを、自分なりにコーディネートしてみてくださいね。